江戸城再建の復元計画が進行中
2020年に向けて江戸城再建運動が始動
世界の主要国の都市エリアには、その国の文化や歴史を象徴する建物が存在していることが多くあります。しかし、東京は日本の中心都市でありながら、特に象徴的な建物がはっきりしておらず、海外への文化のアピールが弱いという意見もあります。
日本の文化、歴史ある建築物があることにより、更に海外からの日本への関心も高くなることから江戸城再建は必要だという意見もあります。
そこで2020年の東京オリンピック開催に伴い、日本の歴史と伝統文化を再確認することや素晴らしい日本建築物を世界に伝えることを目的とし、2020年を目標に江戸城再建運動が行われています。
実現するためには多くの課題があり、一筋縄にはいきません。
建築場所や建築基準法、木造で作るとなれば木材の調達など一つ一つクリアして行かなければなりません。
江戸城再建には350億円かかる
認定NPO法人の「江戸城天守を再建する会」によると再建に350億円必要だと話しています。基本的に費用は協賛企業や寄付金を募ります。
再建することで観光などの集客につながり、その経済効果は約1000億円にもなるという試算が出されています。
但し、完全に木造で忠実に江戸城を再建するとなると400~500億円必要とされ、過去に500億円かけて復元された東京駅と同じ位の規模になります。
もし、2020年の東京オリンピックの開催に向けて実現ができれば、世界に日本の伝統や文化を再発信出来ることに繋がると訴えています。
焼失したままの江戸城天守
江戸城天守は1657年に発生した大火事「明歴の大火」で焼失後、市街の復興を優先したために最後まで再建がされていません。江戸の象徴より市民を優先したこの城を日本は誇りに思うためにも再建可能な現在に実現させようとする運動が盛んに起きています。
但し、江戸城が存在していた場所が現在の皇居となるため、建築法などあらゆる方面から考えると実現が難しくなります。
江戸城天守の再建で大切なこと
皇居東御苑には基底部38×34メートルの石組みの天守台があり、以前はこの上に地上からの高さ61メートルの天守閣がありました。もし、再建が実現したら現在の建築規制でどこまで再現が可能なのか、シュミレーションを詳しく行う必要があります。
機能的には実用性があるものが好ましく、サミットが行えるよう国際会議施設を設置し、デザインは和風であるが室内の機能やアメニティを現代のものを取り入れ、さらに足りないようであれば付帯施設に本丸の一部を再建が必要な場合もあります。
北の丸公園にプレスセンターやバス乗り場、二の丸の一部に日本庭園も必要と考えられます。
これらを実現するのに詳しく埋蔵文化財の調査が必要になってきます。
江戸城再建後の警備上の不安
江戸城再建に向けて民意が高まれば「国民の福祉施設」としての活躍が予測され、皇居内であっても公共施設の建築は実現可能だと考える意見もあります。しかし、実際は不特定多数の人々が出入りすることを考えると「警備上に不安が残る」などの意見が多く出ることが予想されます。
アメリカのホワイトハウスでは、2階以下を一般開放している例もあるので必ずしも不可能とは言い切れません。
江戸城再建には伝統工法と建築技法の歩み寄りが必要
天守再建に向けて必要不可欠なことが、再建に使われる材料や工法です。日本の昔からの建築に拘るのであれば、完全木造で再建するのが理想でありますが、ここ数年の大地震などの災害を考えると観光などで多くの人々が来場する場所であるためには耐震は絶対に必要です。
そのためには多くの知恵が必要となり、建物の見えない部分に金属での耐震補強をし、表面上はこれまで使われてきた日本の建築技法を見せる統工法と現在の技法をどこまで歩み寄らせられるかが課題と言えます。
江戸城再建に向けての課題
江戸城再建に向けて最も壁が高いと考えられているのが宮内庁からのご意向があります。江戸城の天守閣基礎部分は皇居内東御苑内にあるため、そこに木造5層5階の建物を建築するのは建築基準法に違反するだけでなく、一般の方が皇居を見下ろすことになり、さらにセキュリティ面でも難しいと言われています。
また、「明歴の大火」で焼失した江戸城ですが再建が叶わなかった歴史を安易に再築し、現代に作ってしまって良いものなのか?という問題も課題の1つだと言えます。